love and moon...
君が、いた


 土砂降りの雨が 君の声をかき消していた
 数歩先で立ち止まった僕は ふと後ろを振り返った

 喧騒や騒音の中 君は確かに存在していた
 古い木造アパートの片隅で 体を小さく丸めて

 うっすら開いた君の瞳が
 先を急ごうとする僕を その場に釘づけにした

 傘を持ち直した僕は そっと君に近づいた
 無言で君の体に触れると 微かに震えたのがわかった

 トクン、トクン―――…

 冷え切った君の体から 温かな吐息が零れていた
 そっと抱き上げると 君はギュッと力を込めた
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